お客様と温度感が一致する瞬間を目指して。分析力×チーム力で進むディレクター

ゲームディレクター

サイバードが提供する大人気恋愛ゲーム。そのディレクターを務めているのが田中 幸恵です。30人ほどのチームに属し、セクション間の調整役を務める彼女は何を意識し、働いているのでしょう。今回は、そんな田中の仕事観をご紹介します。

ディレクターの専門性は「お客様視点」にある

全世界でのシリーズ累計会員数3,000万人を誇る 恋愛ゲーム「イケメンシリーズ」。
田中 幸恵はその中でも絶大な人気を誇るタイトルのディレクターを務めています。

ディレクターの主な仕事は、ゲーム内コンテンツの仕様の確認や検討などを行い、最終決定をすること。その他にもゲーム内で起きたトラブルの対応や運営上必要な事項の決定も行うため、ゲーム制作のすべてのタームに関わる役職だと言えるのです。 田中はそんなディレクターの役割を“まとめ役”と表現します。

田中 「私のチームはおよそ30人規模で、プランナー職のメンバーが約7名います。私はプランナーセクションのリーダーとして、同じタイトルを担当している他セクションのデザイナーやライター、エンジニア、デバッガーとの連携をしなければなりません。

なので、横とのつながりも持たないといけない役職なんです。プランナーと共に、お客様にどういうものを届けたら良いのかを考えること。そして、それを届けるために、どのセクションに何をお願いするかが重要になってきます」

このように、進行上のディレクションやより良い成果物の追求のために奔走するディレクター。そうした業務の中で重要なポイントは、“視点”でした。

田中 「ディレクターは、お客様と同じ目線でいることが最も重要です。突き詰めて言えば、私はソースコードが書けるわけでもなく、イラストが描けるわけでもありません。じゃあ何に対して専門性を持たなくてはいけないかと考えた時に、お客様の気持ちを知っていることや、推測して考える能力なのかなと考えたんです。

考えたことをチームメンバーに伝えコンテンツに反映して、お客様にとってより良いものを出すことに、専門性を発揮しないといけない立場なのかなと思っています。ただ、全てがうまく行く訳ではありません。ディレクターが思うことと他のメンバーの考えが一致しないこともありますから」

確実な正解がないゲーム制作では、正解を各々が探っているからこそ、難航することも。その上で田中は、根拠や論理に基づいた判断を下せるように専門性を高めようとしています。ただ、根拠や論理に基づいて考えても、最終的には「自分がお客様だったらどっちのほうがテンションが上がるか」「納得感があるか」といった“お客様視点” に立ち戻ることを大切にしているのです。

サイバードで向上した数字を見る力。ディレクターとしてブレない軸を持つ

▲常に手元に置いている紙とペン。複雑なことを考える際は紙に書いて考えることも

田中は、前職でも女性向け恋愛ゲームのプランナーをしていました。サイバードに入社したのは、環境を変えることでさらなる成長を望んでいたからです。

田中 「前職では、企画を考えて上司に出して、フィードバックをもらう立場でした。サイバードにきてディレクターを任されるようになってからは、今度は自分が確認をして判断しなければならなくなったので、最初はそれがとにかく難しかったです。自分の感覚だけではない、相手に伝わる判断基準が必要なのですが、判断するにも情報が必要になります。情報収集をしっかり行うことと、軸を持ってブレないように考え続けるのが1番大変でしたし、今も大変ですね(笑)」

チームをまとめながら、ディレクターとして主に数字に基づいた分析を担当する田中。感性で判断をするようなクリエイティブな判断は専任のメンバーに任せており、それは彼女たっての希望でもありました。

田中 「本当にお客様に喜んでもらえるものになっているかどうかを判断することはすごく難しい仕事だと思っているので、そういった感性的な部分を任せられるのは、多少楽をさせてもらっている感覚もあります。その分、私は数字と分析について、専門性を高めてチームに貢献したいと思っています」

サイバードに入社をしたときから、数字を見て分析し、原因を突き止めて改善していく──そうした分析力を高めたいと田中は考えていました。仕事をしていくうちに、 実際に分析力の成長を感じてきています。

田中 「サイバードには感覚的ではなく、数字をきっちり見て論理的に考えるプランナーやディレクターが多いんです。その背中を見て、自分の判断力も鍛えられてきました。今はだいぶ、サイバード式の、数字で詰めていくやり方が出来るようになったんじゃないかと思います」

自分の気持ちと数字に向き合い、アップデートし続けることが結果につながる

▲田中の仕事場。在宅勤務での運動不足解消に揃えたアイテムたち

常に数字と向き合い続けている田中がやりがいを感じるのは、予想していた数字が出た時。

田中 「意図や目的を持ってコンテンツの仕様を検討しているので、予想通りの結果が出ると、考えた時間は無駄じゃなかったんだなと思えます。自分が最終的に判断したことも間違っていなかったのだなと思えるので、達成感がありますね。

加えて、その予想が当たったということは、お客様を理解できていたということにもつながります。お客様と自分がすれ違っていなかったと、胸を撫で下ろすことができるんです」

そのようなお客様とのすれ違いをなくすため、田中は日頃のリサーチを怠りません。また、リサーチでは自社のサービスのみを対象にしているわけではありません。他社のゲームをプレイするなど、常に最新の情報をインプットしているのです。ただ漠然とプレイするのではなく、楽しみながらも、自分の心の動きを鋭敏にキャッチすることを田中は心がけています。

田中 「私自身ゲームが好きで、いろいろなものをプレイするんです。常に自分の気持ちと向き合って、『このゲームのここの部分にテンションがあがったな』という自己分析も行いながらゲームをやるようにしています」

常に自分をアップデートしながら、客観的な視点を大事に働いている田中。そうした自らの武器を十二分に発揮するために、胸に刻んでいる“ある価値観”があります。

田中 「立場上、私のメンタルが不安定になると、密にかかわるプランナーセクションだけでなく、他のセクションにも影響を出してしまいます。

そのため、安定感は常に意識しているんです。もちろんイライラすることもグラグラすることもたくさんありますが、なるべく見せない。見せても最終的には前向きに振る舞う姿勢を持っていないと、まとめ役にふさわしくないかなと思っています。私の上長がとても安定感のある方で、そんな姿を自分も見せられるように見習っています」

自走しながらハブにもなれる成長環境で、これからもゲームを育て上げる

これまでチームの中で作品をつくってきた田中。その中で強く感じたのは、コミュニケーションの大切さです。チームで働いているからこそ、その“輪”を大事にする心遣いが大事になるのだと知っているのです。

田中 「相手を尊重する姿勢がとても大事だと思っています。ディレクターとして毅然とした姿勢で決断するのも時には必要ですが、独断専行が行き過ぎて共感を得られなくなってしまうと、ゲームが動かなくなってしまいますよね。

これを言われたら相手は嫌だろうなと思ったら表現をマイルドにしたり、相手と意見が違うだろうなと思った時は、口頭で相談するようにしたり。小さいことではあるかもしれませんが、その積み重ねが大切だと思うんです」

そうしたコミュニケーションの大切さを知っているからこそ、一緒に働く仲間も密に連携が取れる人が良いと田中は考えています。

田中 「自分がどういう状態かを発信することにためらいがない、あまり壁がない人だと、一緒に仕事をする上で嬉しいなと思います。在宅勤務ではとくにお互いの様子が見えないので、壁が高かった場合、それを打ち砕くことに時間がかかってしまうんです。

サイバードのディレクターはいろいろな人と一緒に動くことが多い役職です。なので、自分がハブになって動くことが得意、好きという人は向いていると思いますね。自分で自走出来るし、ハブにもなれる。両立したスキルを高い水準で求められる仕事ではありますが、その分成長できる環境がここにはあります」

そうした環境の中で、今後を見据える田中。まずは、足元を固める努力をしようと目論んでいます。

田中 「ディレクターとして成長できる部分がまだまだあるので、まずはそこを伸ばしていきたいです。もう少し分析がうまくなれば、今抱えている課題を解決する提案もできるんじゃないかなと思っています。サイバードでは周りの人もどんどん成長していくので、私自身も『成長しなければ』という危機感が生まれやすいですね。これからも新しいことに挑戦したり、自分で手を動かしたりと、努力を重ねていきたいです」

周囲へのリスペクトとお客様目線を胸に刻み、ゲームを育て上げていく。そんな田中の努力と成長が、これからもサイバードを支えていくでしょう。

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